職種の垣根を超えたその先に、最高のチームがある。未来へつなぐ、消滅都市プロジェクトストーリー

グリー新スタジオ「Wright Flyer Studios」の初タイトル「消滅都市」。約半年という開発期間で、300万ダウンロードを突破するゲームを生み出せたのはなぜなのか?グリーならではのチームワークとそのプロセスについて、まずはプロデューサーの澤が語ります。

消滅都市
消滅都市
  • タイトル:消滅都市
  • ジャンル:ドラマアクションRPG
  • プラットフォーム:iOS/Android
  • 料金:基本プレイ無料(アイテム課金制)
  • 配信エリア:日本
消滅都市公式サイト

第一章 ゲーム作りはチーム作り

澤 智明/プロデューサー

2006年にグリー入社。2010年から「海賊王国コロンブス」など多数のグリーゲーム開発に携わる。初めて買ったゲームはファミコンの「スパルタンX」。

言いたいことを言い合えるチームつくり

消滅都市プロジェクトは、まずチームビルディングからスタートしました。面白いゲームを作るのはもちろんなのですが、"チーム全員"が面白いと思うもの、"お客さまに届けたい"と思えるものを作りたかったんです。そのために何が必要かを考えた時、まずは職種や立場の垣根を越えて、みんなが言いたいことを言い合える環境を作ろうと思いました。

ゲーム開発において、自分の担当範囲内でプロデューサーやディレクターに言われたものを作ることは、意図せずとも起こりがちです。でもエンジニアやデザイナーといった職種関係なく、全員でアイデアを出し合うことができたら、もっと「面白いもの」を作ることができると思うんです。だから最初に「何でも言い合えるチームにしていきたいから、遠慮せずに思ったことはどんどん発言して欲しい」とみんなに伝えました。理想は席で雑談しながらワイワイ盛り上がるチームだったので、全員参加のミーティングも定期的に設けて、徐々にお互いの関係を構築していきました。今は実際に、理想とするチームができたと思ってます。

職種の壁を超えたその一歩先に、一体感が生まれる

私はグリーに入社して9年になりますが、最初の頃はチームメンバーも数人しかいなくて、プロジェクトの方向性や空気感を、意識しなくても共有できていました。関わる人が増えるとそういう「あうんの呼吸」は難しくなりますが、消滅都市プロジェクトは、開発当初から十数名いたにも関わらず、そういったチームの雰囲気や空気感の共有がしっかりできていました。これまでプロジェクトによっては、チームメンバーの働くフロアが違うこともあったのですが、今は組織の方向性として、同じチームは同じフロアに固めるようにしています。その結果、お客さまの生の声を直接聞いているカスタマーサポートのメンバーと密に話すことができたり、仕事中に気付いた何気ないことをすぐに共有できたり、いろいろな効果がありました。

また、開発期間が約半年とタイトスケジュールだったのも、チーム作りに影響していると思います。というのも、それぞれが自主的に動かなければ、リリースに間に合わなかった(笑)。グリーは大企業のイメージがあるかもしれませんが、消滅都市プロジェクト含めて今のグリーには、間違いなくスピード感やなんでも挑戦してみようという"ベンチャーマインド"があります。

議論を重ね、最後は自分が決断する

お互いの信頼関係を構築するために、飲み会やバーベキュー、忘年会など積極的にコミュニケーションの場も設けました。仕事の話だけでなく、好きなゲームや家族のことなど、いろんなことを話しましたね。そこから新しいアイデアのヒントを得られることもあって、良い影響が生まれたと思います。

今回のプロジェクトでは、"チーム内で自由に意見を言い合って、役割に関係なく良いアイデアはどんどん取り入れていく"ことを全員が共通認識として持っていました。そして、議論を重ねに重ねた最後の決断は、プロデューサーとして自分がする。気付けばお互いの信頼関係の上で、そういった共通ルールが自然と生まれていました。

王道を捨て、自分たちがワクワクするものへ

実は最初、剣と魔法の世界を舞台にした、いわゆる流行りの王道ゲームを作ろうとしていたんです。でも、Japan Game事業本部長の荒木に企画書を見せたら「もっと挑戦してほしい」と言われて。世の中にこれだけゲームが溢れている中で、ユニークで面白いと思ってもらい、なおかつ自分たちが作りたいものは何かをチーム全員でとことん話し合いました。ワクワクするものは何だろう? と映画やドラマやマンガを見てみると、意外と剣と魔法が舞台のファンタジーな世界って少ないんですよね。そのような中で、自分たちは現代を舞台に謎めいたストーリーの世界観が好きだったし、他のエンターテインメントを見渡しても多いんだなと思いました。

そうやって、本当のエンターテインメントとして自分たちが面白いと思うものを追求していった結果、最終的に魔法の世界ではなく現代を舞台にした「消滅都市」の世界観ができあがっていったんです。ゲームでは珍しい世界観で、横スクロールアクションにチャレンジしよう、そう全員の想いが一致しました。

幸い最初にプロトタイプを作り、面白さを確認してから本開発に進むというプロセスができていたので、手戻りは多くありませんでしたが、勇気のいる決断でした。

自分が「面白い」と自信を持てないゲームに、チームはついてこない

これまで多くのゲーム作りに関わってきましたが、自分に迷いがあると、それは必ずチームにも影響します。でも、消滅都市プロジェクトでは自分のやりたいことに自信を持って取り組めたので、チーム内の職種の壁も超えられた。とにかく全員で話すということを、諦めずに毎日積み重ねていくことで、徐々にみんなの意識や雰囲気も変わっていきました。

私はいつも、人生を楽しもうと思っています。一度きりの人生なので、大きいことや自分のやりたいことを全力でやりたい。今回のプロジェクトも本当に大変でしたが、この半年間で絶対に面白いものを作るんだという強い意志とこだわりを持って取り組みました。ゲーム作りに必要なもの、それは間違いなく一人ひとりの何があっても絶対に諦めない、「熱い想い」です。

第二章 チーム力で乗り越えるということ

  • 渡部 晋司/リードエンジニア
    大手コンソールゲームメーカーを経て2012年に入社。入社後はGREE Platform事業に従事し、2013年夏よりWright Flyer Studiosでゲーム開発を行う。
  • 櫻井 慶子/シニアアーティスト
    2012年に新卒入社。新プロダクトのキャラクターデザイン制作を経て、2014年1月から消滅都市チームに参画。消滅都市独自の世界観を作り上げることに貢献。
  • 栗山 知也/ゲームプランナー
    2014年に新卒入社。最初の配属はQA(品質保証)チームの消滅都市担当だったが、リリース直後にゲームプランナーとしてチームに参画。現在はステージ制作など幅広く業務を担当。

開発開始から半年でリリースという無茶ぶり

渡部:消滅都市は、プロトタイプが終わって本開発が始まってから、半年後にリリースしますって言われたんだよね。最初は嘘だと思ってた(笑)。

櫻井:ここまでタイトなスケジュールはあまりないですよね。

渡部:そんなこと言って、実際の締め切りはもう少し先にあるんだろうと思ってたら、本当に延びなかったんだよね。最後は夏休みの宿題のごとく、怒涛の追い込みをかけるという。

櫻井:私がこのプロジェクトに入ったのは2014年の1月末なんですけど、それまで他のデザイナーさんが書いてくれた叩きの画像はあったのですが、正式に確定したデザインはあまり無い状態でした。

渡部:その時点で、リリースの4ヶ月前……(笑)。

櫻井:主人公勢のキャラクターデザインやバトル画面も、大枠は固まりつつあったのですが、詳細部分をまだ揉んでいる状態で、デザインの完成イメージが少しぼんやりしていましたね。

渡部:その頃はプログラムだけ先行して走ってたんですよ。

櫻井:アクションとかゲーム部分はできていたんですけど、アートはまだまだ課題が多く残っていました。澤さんからも「タマシイ一体一体に統一感が無いんじゃない?」「キャラクターに可愛さや親近感を感じてもらえるようなデザインにしてほしい」といった指摘や要望を受けたので、それらを改善するために縁の取り方やエフェクトなど、より細かなレギュレーションを策定したんです。でも、何も無いからこそ、いろいろな試行錯誤ができました。エンジニアさんも、「こんな感じで入れたいんです」と言ったらすぐに対応してくれたり、みんなでプレイ画面を見ながら、これはダメだね、いいねと言ったり。最初はこれまでのプロジェクトと何もかもが違ってびっくりしたけど、そういう何でも言い合える雰囲気があったからこそ、楽しくて良いものが作れました。

渡部:本当に学園祭みたいだった(笑)。

短納期のプレッシャーは職種を超える!

渡部:栗山くんが来たのはリリース直前の4月で、絶賛不具合直し中みたいな時期だったよね。

栗山:僕は最初、QA(品質保証)担当として配属されたんですけど、新卒でまだ何の経験もなかったので、ゲーム開発ってこんなに大変なんだと衝撃を受けました。翌月には出ると聞いていたので、さすがにもういろいろな事が完成していて、あとは細かいところの微修正ぐらいなのかと思ったら、目に見える不具合がいっぱいあるという(笑)。

渡部:いやぁ、あれは大変だったね。

栗山:とにかくたくさんあったので、この辺おかしいです! と気付くままに指摘していたら、それなら自分で直してみない?と言われて。僕、QAなのに(笑)。それで、なべしん(渡部)さんが開発した制作ツールを使って直したものを、こんな感じでどうですか?と見せたら、リリース間近にそれをそのまま採用してもらえたんです。QAでも直接ゲーム作りに携われて、そういうところはすごく面白いなと思いました。

渡部:僕も最後の方は、ゲーム内のセリフを考えてました。みんなが職種を超えて、いろいろなことをやってましたね。

少数精鋭で、プロジェクトを見届ける喜び

櫻井:なべしんさんはもともとコンソールゲームメーカーにいて、そこからグリーに来たんですよね。きっかけは何だったんですか?

渡部:コンソールゲームは大好きだし、思い入れもあるんだけど、スマホがこれだけ広く一般に普及して、iOSやAndroidという統一された規格の上で動くゲームがたくさん出てきた。このままコンソール業界に残るか、少し新しいことにチャレンジしてみるかを悩んだ時に、当時はまだ20代後半だったので、社会人として一番成長できる時期に、流行りのものを一度見て、両方経験するのも悪くないかなと思ったんです。

櫻井:なるほど。実際にグリーへ来て、前職と大きく違うところはありました?

渡部:少人数のチームで開発することですね。大変だけど、その分、自分の言った事が反映された時はうれしくて。後は一つのプロジェクトを最初から最後までやりきるっていうのも初めてで、すごく良い経験になりました。これはゲーム業界の中でも、そんなに機会のあることじゃないのかもしれないね。すごく楽しい環境で仕事ができてると思います。

「消滅都市」は各々がチャレンジする場

栗山:僕はまだ新卒1年目なんですけど、いろいろなことに挑戦する機会が本当にたくさんあるなと感じています。最初は細かい運用から始まって、今はクリエイティブなところや、バトルステージまで作っています。何気ない会話の中から新しい企画が生まれるチームで、面白いものができるってこういう雰囲気なんだなというのを肌で感じながら、日々チャレンジさせてもらっています。

櫻井:私もこのプロジェクトに入って、知らない間にチャレンジしていたことがすごく多かったなと思います。最近になって、自分のデザイン判断やフィードバックがすごく重要視されていることに気付きまして。信頼してもらえている、と自信が持てるようになったのは、このプロダクトのおかげです。現在は、マネジメント業務にチャレンジしています!

渡部:スマホがコンソールゲーム機と決定的に違うのは、古いものから最新のものまで、それぞれが持っている端末が違うということなんだよね。僕らにとってはたくさんある端末の一つでも、お客さまとっては"この1台"なわけで。端末によってはゲームの操作性や見栄えが変わってしまうから、本当に最後の最後まで、なるべく多くの端末をサポートできるよう細かくチェックを続けました。そういう意味で今回は、本当に大きなチャレンジでしたね。

やりたいことがあればとことん楽しめる

渡部:コンソールゲームは工場にソフトを出荷したら、エンジニアとしてはそこで終わりなんですよね。でも、スマホゲームはリリースしてからが本番です。運営していく中で、新しい価値を提供していきたいと僕は思ってるんですけど、二人はこれからの目標って何かあるんですか?

櫻井:個人的には、このチームで自主的に提案して変えられたことが多いので、これからは組織全体として、アート部のクオリティをさらに上げていきたいですね。ストーリーや世界観に密接に絡むアートは影響力も大きいので、もっとアート先行で動いていくものがあっても良いのではと思ってます。

栗山:僕はグリーに入社したことで、さまざまな業界で多くのことを経験されてきた方々と一緒に働くことができ、本当に恵まれているなと思ってます。いつか自分が新しいゲーム開発を任された時、このチームで学んだことを生かして貢献できるよう、まだまだ勉強していきたいです。

渡部:グリーは、やりたいことがある人には挑戦する機会を与えてくれるし、良くも悪くも決断が早い会社だよね。躊躇せずガラッと変えちゃう。

栗山:他の会社に行った友達に聞くと、配属されてから3年くらいは研修の立場でいろいろやることが多いみたいなんです。でもグリーは良い意味で型がない。いきなり現場に配属されて、最初は先輩の指示を受けながら試行錯誤してやるんですけど、気付いたらいつのまにか1人でやっていて(笑)。その分、自分が出した成果はちゃんと認めてもらえるし、プロダクトにも反映される。

櫻井:言われたことをそのままやるだけじゃ満足できない人とか、自分から動きたい人にはぴったりの会社ですね。

栗山:やりたいことがたくさんある人は、入ったら何でもできると思います。手を上げれば任せてもらえる。僕もどんどん、新しいことに挑戦して自分を成長させていきたいです。